
第8ステップ
PDM導入の準備
5. 製品開発プロセス変革のポイント
CALSインフラ時代に日本の製造業として最優先で実行するべきものは、製品の企画/開発/設計プロセスの変革である。この変革の中核になるものが三次元パラメトリック・フィーチャ・べース・ソリッド・モデリングである。このような視点から、これから説明するポイントをまとめると次のようになる。
(1)基本コンセプトは「製品なきどころビジネスなし」、
これからは基礎研究であっても、応用製品と開発スケジュールおよび納期を宣言する必要がある。
(2)開発設計コスト80%の認識、
製品設計コストは全体の5〜8%(第4図)と少ないが、この段階でコスト全体の80%が決定されてしまう(第5図)。したがって、製造関連部門の下流工程のコスト削減を目指すならば、必ずこの開発設計工程も含めたトータル・アプローチをしなければならない。
(3)産官学三位一体(シーズ/ニーズ/商品化)、
トータル・リードタイム5年以下で、従来型の一社垂直統合型方式で新製品を市場に出荷することは極めて困難である。そこで水平自立分散調和型のアジャル・エンタプライズ方式を必然的に導入していくことになる。このオペレーションに成功している企業がHP社である。参考までにHP社の研究開発戦略を第6図に示す。HP社は産官学の優秀なリソースを巧みに統合化することによって、新製品開発力を一定のポテンシャル以上に保持していることがわかる。
(4)国際的高度情報化べースのコンカレント・エンジニアリング、
企業の変革を実施する場合には、人の意識改革と企業文化の変革がベースで、これが成功の鍵と言っても過言ではない。この変革を推進するにあたって効果的な方法がネットワーク・コンピュータ・システムをインフラとしたコンカレント・エンジニアリングの導入である。
(5)バーチャル・プロダクト開発設計手法の導入、
CAD/CAE/CAMにおける3Dパラメトリック・フィーチャベース・ソリッド・モデリングを活用することによって、単なるイメージを出来る限り早くCRT上に画像として表現することが、多くの専門分野の人から協力してもらえることになり、急速に具体的な製品に成長する可能性がある。そしてラピッド・プロトタイピングを利用すれば木型としての試作品にまで短期間に結び付けることが出来る。ここで参考までにバーチャル・プロダクトの開発設計手順を第7図に示す。このようにすることによって、ラピッド・デザイン、ラピッド・マニファクチャリングが可能になるのである。
(6)バーチャル/ビジュアル・マニファクチャリングの推進、
CAD/CAE/CAMにおける3Dソリッド・モデリング機能とコンピュータ・グラフィックス技術の進歩により、製造ラインや工程の構築がCRT上で実モデルに近似した検討が可能になったので、サプライ・チェーン。システムまで含めたトータルアプローチをすることにより、リードタイム短縮、コスト低減および品質の向上の効果を上げることが出来る。
(7)アジャル・マニファクチャリング方式の構築、
アジャル・マニファクチャリング方式は胃下開発中であるが、現時点ではワールドワイトに分散するFMS(フレキシブル・マニファクチャリング・システム)を、インターネット経由で製造する品種に対応して、適宜切り替えて使用することによって効率的生産を実現しようとするものである。
6. 新製品の競争力決定要因
新製品を発表する際にその競争力を予め評価検討することは、極めて重要なことである。しかし、従来は
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